糖尿病・内分泌内科は、全身を統合的に理解し、俯瞰的アプローチを行う非常に内科らしい診療科です。基本的には糖尿病、内分泌代謝の専門医であるとともにまず内科医として一人前になることを目指します。そして当科では糖尿病、内分泌代謝疾患の基本的な知識、技術だけではなく大切な考え方、そして医師としての姿勢を学びます。

内分泌疾患における検査データから謎を紐解いていく過程はあたかも上質の推理小説を読むような楽しさがあります。病態をロジックに理解できる楽しい知的作業を是非経験してください。糖尿病診療では、多くの種類の糖尿病治療薬を患者さんの病態に応じて使い分け血糖をコントロールし合併症を防ぐことで、エキスパートとしての腕を発揮することも大切ですが、血糖が上昇しているのは結果であって原因ではありません。なぜこの患者さんは食べ過ぎるのか、運動ができないのか、治療に向き合えないのかを深く理解するとともに、寄り添い信頼関係を築いて行動変容をいかに引き起こすのかが重要です。当科では2型糖尿病、肥満症をはじめとする生活習慣病診療、合併症対策、行動変容、チーム医療などについて、そして内分泌疾患では電解質異常や甲状腺疾患などコモンディジーズから下垂体疾患などエキスパートの技が必要な疾患まで広く学ぶことができます。

特に毎朝の新患カンファレンスでは外来のすべての新患、共観患者について教授を始めエキスパートの指導医と方針について議論できるので、若い先生たちが短期間で多くの経験を積むとともに見違えるように成長することができます。さらに学会発表や臨床研究を通じて未知の病態にも対応できるような真のエキスパートを目指します。専門医としての資格だけではなく、中身も伴った実力をつけたい先生たちを歓迎します。

私は学生時代から「全身を診ることができる医師になりたい」と考えており、とくに内科疾患に惹かれていました。検査データから病態を推理していく過程に、面白みを感じたことが最初のきっかけです。

糖尿病内分泌内科診療の中で、糖尿病の診療では血糖管理だけでなく、患者さんの生活習慣や背景疾患、さらには性格や家族との関わりなども参考に、治療方針を一緒に組み立てていきます。日常をどのように過ごしているかにまで踏み込む点で、一人一人の患者さんと深く向き合うことができます。また内分泌疾患の診療では幅広い疾患を扱い、時に「一見ばらばらな症状」をつなぎ合わせて診断に至る、パズルを解くような面白さがあります。適切な治療で劇的に改善する症例に巡り会えることも多く、臨床医として大きな達成感を味わえる分野だと感じています。

入局後の2年間を大学病院で過ごし、糖尿病・内分泌いずれの分野においても、豊富な症例数を経験することができました。カンファレンスやWeb抄読会など、手厚くご指導いただける環境が整っているため、知識と臨床力を深める大きな助けとなったと感じています。