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感染症内科(感染症内科学)

責任者からのメッセージ

笠原 敬(教授)

「感染症内科」と聞いて、普段どんな仕事をしているかイメージできる方は多くないかもしれません。コロナ禍で感染症に注目は集まりましたが、多くはウイルスやワクチン、マスクなど個別事象に偏り、真に影響を受けた「人」と「社会」への視点が不足していました。私たちの仕事は、医師として専門性を持ってその「人」と「社会」に向き合うことです。

医療機関での役割は多彩です。丁寧な病歴聴取と身体診察、そして微生物検査を駆使して原因微生物と感染臓器を見出し、診断や治療に難渋する症例の最後の砦となります。同時に多職種と協働し、抗菌薬適正使用や医療関連感染防止を組織横断的に推進します。これには高いコミュニケーションスキルも必要となります。

感染症は患者の移動とともに広がるため、病院をこえた地域での取り組みが必要です。国も地域医療構想や診療報酬(感染対策向上加算等)で連携を促進しており、その中心を担うのが私たち感染症専門医です。実際に他院や福祉施設、行政を訪問し、指導する機会も多くあります。

感染症内科医のロールモデルやキャリアパスはまだ全国的に確立しているとは言えません。私たちは2003年の講座設立以来、県内外の関連病院へ医師を派遣し、新しいロールモデルをこの地から創り発信しています。ともに、感染症に負けない社会を築きましょう。

キャリアパス

卒後3年目は、大学病院で感染症内科が対応する幅広い疾患を診療し、内科医としての基礎を固めます。

卒後4~5年目は大学病院や関連病院でさらに経験を積み、施設毎の感染症や対策の違いを学びながら、まず総合内科専門医の取得を目指します。

その後、大学病院または関連病院で感染症専門医の取得へと進みます。

大学院への進学も推奨しており、微生物学や免疫学、公衆衛生に加えAI・DX等の先端研究も可能です。研修中にはタイやフィリピン等での熱帯医学研修や、臨床微生物学・HIV/AIDS・渡航医学の短期研修で専門性を高める機会も豊富です。

また、感染管理室への配属や地域連携の会議、国公立大学附属病院感染対策協議会の業務等へ積極的に参加し、感染対策を系統的に学ぶことができます。

専門医取得後は、大学・関連病院の指導医、国内外への留学、厚生労働省勤務など、多彩なキャリアが開かれています。一人ひとりの目標と夢の実現を目指し、医局が最大限にサポートします。

先輩医師からのメッセージ

松川 浩介

奈良医大感染症内科での研修は、感染症診療について非常に幅広く経験できる点が魅力だと感じています。

一般感染症はもちろんですが、HIV感染症をはじめとした免疫不全患者の診療や、輸入感染症など、複雑な病態をもつ患者さんの診療に主治医として深く関わり、感染症診療の原則に則った丁寧な医療を実践できます。また院内外からのコンサルテーションに日常的に対応し、他科と綿密にコミュニケーションをとりながら、様々な臓器の感染症のマネジメントや、院内での感染管理を経験できます。

医局には様々なバックグラウンドを持った先生方がおられ、大学院に所属し臨床と研究を両立されている方もいらっしゃいます。専門医取得後も見据え、多彩なキャリアパスを描ける環境だと感じています。

感染症の分野は、病原体を突き詰める微生物学的なミクロの視点から、公衆衛生や感染症対策といったマクロな視点まで、幅広いグラデーションの中で臨床に関わることができ、日々の業務にとてもやりがいを感じています。

ぜひこの奥深い感染症の世界で、私たちと一緒に活躍しませんか。

一週間の業務例

入院患者の診療はチームで行い、毎朝のカンファレンスと回診で治療方針を決定します。
一週間のスケジュールは以下の通りです。

  • 月曜日:午前は医局全体の入院患者カンファレンス、夕方には勉強会やリサーチカンファレンスを兼ねた医局会があります。
  • 火・金曜日:AST(抗菌薬適正使用支援チーム)カンファレンスとICT(感染対策)ラウンドに参加し、病院全体の感染症診療・対策に貢献します。月に1回、他大学との合同カンファレンスがあります。
  • 毎日:夕方には微生物検査室で血液培養カンファレンスを行います。陽性検体のグラム染色や培地のコロニーを自ら観察し、多職種で議論する貴重な機会です。

この他、週に1回の外来診療と、月に3~4回の当直を担当します。

GSコースの三年間

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
1年目 奈良医大感染症内科での研修、または他内科での研修
2年目 奈良医大感染症内科での研修、または他内科での研修、または連携施設での研修
3年目 連携施設での研修、または他内科での研修

当科の3年間の研修プログラムは、個々の目標に応じて最適な研修を組み立てられる自由度の高さが大きな特徴です。大学の感染症内科、他内科、連携施設での研修を、一人ひとりの進捗やキャリアプランに合わせて柔軟に組み合わせます。

標準的なモデルとしては、卒後3年目(専攻医1年目)は大学病院で感染症診療の基礎を固め、卒後4~5年目(専攻医2~3年目)は関連病院等で一般内科医としての経験を積みながら、総合内科専門医の取得を目指します。

研修中には、タイやフィリピンでの熱帯医学研修や、大学院への進学といった、より専門性を深める機会も豊富です。各自が目指す医師像を実現するため、医局が最適なプログラムを共に考え、サポートします。

お問い合わせ

  • 奈良県立医科大学附属病院 感染症内科(感染症内科学)
  • TEL:0744-22-3051(代)

その他、詳細情報については特設HPへ

感染症内科(感染症内科学)特設ページ