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神経内科(神経内科学)

責任者からのメッセージ

杉江 和馬(教授)

脳神経内科学は、最近の驚異的な脳科学の進歩により、未解明であった多くの脳神経内科疾患のメカニズムや治療法が次々と確立し、飛躍的な進歩が益々期待される分野です。また、これからの日本の超高齢化社会では、脳神経内科で担うべき脳梗塞や認知症、パーキンソン病といった患者が増えることが予想されます。特に、脳卒中や認知症、そして、国民の1/5が罹患しているとされる頭痛症などのcommon diseaseの診療は重要です。

今後さらに、脳神経内科医は確実に求められる存在となります。本学の脳神経内科学講座では、この社会の需要に応えるべく、豊かな人間性に基づく倫理観と旺盛な科学的探究心を有する神経学会専門医を育成していきます。また、総合内科専門医に求められる脳神経内科領域の技量の修練に取り組みます。将来、奈良県の地域医療のみならず、世界の医学、医療を支える人材となってくれることを期待します。

近年、検査や画像所見が重視されがちですが、脳神経内科学分野では、依然ベッドサイドでのハンマー1本から得る神経学的診察所見は重要です。臨床神経学の真髄をしっかり情熱を持って教育したいと考えています。是非、充実した後期研修3年間を過ごせるよう、私たちも一緒に努力して指導していきたいと思います。

キャリアパス

脳神経内科では、後期研修で大学病院や連携病院で各内科ローテートの中で、脳神経内科の専門性を高め技量を磨き、総合内科専門医を取得後に、神経学会専門医を目指すこととなります。現在、卒後7年目で神経学会専門医を取得できますが、専門医制度の変更後も同様の予定です。また、内科全般を診療したい場合や在宅医療を目指す内科医にも、脳神経内科の専門知識は大変重要です。

現在、既に脳神経内科医の需要は高く、超高齢化社会に向けて益々増加傾向です。超急性期の救急病院から慢性期中心のリハビリテーション病院まで様々な職場があります。また、妊娠・出産・育児に十分時間を取りたい女性医師にも職場復帰しやすく、男女問わず、人生設計やワークバランスに配慮した職場選択が可能です。

脳神経内科の専門性を高めたい場合は、神経学会専門医を取得後、臨床神経学を磨きつつ、大学院への進学、国内・海外留学を通して、脳卒中、神経変性疾患、神経感染症、神経免疫疾患などを学び、さらに専門性を持った医師を目指していくことができます。研究分野としても、神経・筋病理学、脳波や神経伝導検査等の神経生理学、遺伝性疾患の解明を目指した分子生物学、神経免疫学、神経画像診断学、脳高次機能学など様々です。脳卒中専門医、頭痛専門医、認知症専門医、臨床遺伝専門医、リハビリテーション専門医を身につける道もあります。神経系を専門にしたい内科医から、脳神経のスペシャリストを目指す方まで、ぜひ脳神経内科を専攻してください。

先輩医師からのメッセージ

尾崎 麻希

平成28年度より後期研修をさせて頂いております。脳神経内科で扱う疾患は、脳血管障害、神経変性疾患をはじめとして、頭痛や認知症、筋疾患、末梢神経疾患など多岐に渡ります。奈良医大脳神経内科では、様々な脳神経内科疾患について、満遍なく経験を積むことができます。神経診察は複雑な部分も少なくはないですが、打腱器一つで「目の前の患者さんは一体どこが悪いのか」を突き止めていけるのは、脳神経内科ならではの強みと思います。

後期研修医は日々、ベッドサイドで患者さんを診察し、神経診察を中心として勉強を行っています。実際の臨床では検査の進め方や治療の方針など悩むことも多いですが、上級医の先生方が丁寧に指導して下さいます。また診断から治療、生活面のサポートまで包括的に診療することが多く、患者さんとの信頼関係を築ける機会も多いと思います。将来的な専門分野についても、急性期疾患から慢性期疾患まで幅広く、特にキャリアプランがライフイベントに左右されやすい女性医師にとっても、選択肢が多く働きやすい科だと思います。興味のある方、是非一緒に働きませんか。

一週間の業務例

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午前 病棟研修 部長回診 外来研修 病棟研修 外来研修 月に1回当直 月に1回当直
午後 病棟研修 筋電図研修 病棟研修 神経・筋病理研修 頸動脈 エコー研修 月に1回当直 月に1回当直
カンファレンス・抄読会
週に1回当直

脳神経内科では、脳卒中やギラン・バレー症候群、髄膜炎、脳炎などの超急性期疾患から、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、筋ジストロフィーなどの慢性疾患まで、幅広く診療を行っています。入院患者の診療や処置の修得、外来初診患者の対応を行い、そして、随時救急患者や脳卒中センター症例の診療も積極的に経験していただきます。専門的な手技として、筋電図などの電気生理学検査や頸動脈エコー、神経筋病理診断も学べます。脳神経内科では、各症例を多角的、多面的に捉えられるよう、複数の神経学会専門医や指導医から指導を受けられる体制を確立しています。日常診療の間にディスカッションや文献検索を行い、学会発表も論文執筆も積極的に行っていただきます。

GSコースの三年間

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
1年目 脳神経内科 他内科 他内科 他内科 他内科
月1回のプライマリケア当直研修(土日ERで行います)
2年目 連携施設(脳神経内科教育施設・准教育施設、一般内科研修施設をローテーション)
内科専門医取得に向け病歴準備
3年目 他内科 他内科 他内科 脳神経内科
初診+再診外来(脳神経内科)週1回担当
その他の要件 1年目にJMECC受講 / 年に2回、安全管理セミナー・感染セミナーを受講 / CPCの受講
備考 他の内科をローテーション中は、当該科の指導医が研修指導します。また、研修先で当直業務を行います。
症例の充足状況により、他科研修期間は変更可能です。
大学院進学希望者は、3年目のカリキュラムにSubspecialityとして組み入れます。

1年目の最初の4ヶ月間は、脳神経内科で基本的な診察、検査手技を学びます。その後、大学病院で他の内科を2〜3ヶ月間ずつローテートをします。2年目は1年間連携施設での研修となります。主に、日本神経学会認定の教育施設・准教育施設で脳神経内科、一般内科研修施設で内科のローテートをします。3年目は、脳神経内科での研修を入院のみならず外来診療においても重点的に行い、症例の充足状況に応じて他科をローテートします。本コースでは、大学病院と市中病院の双方を経験することで、脳卒中・脳炎などの超急性期疾患から、神経筋変性疾患などの慢性期疾患、頭痛・めまいなどのcommon diseasesを幅広く学びます。また、将来的に神経学会専門医を早期に取得できるよう配慮しています。

お問い合わせ

  • 奈良県立医科大学附属病院 脳神経内科(脳神経内科学)
  • TEL:0744-22-3051(代)

その他、詳細情報については特設HPへ

脳神経内科(脳神経内科学)特設ページ