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消化器・内分泌代謝内科(内科学第三)

責任者からのメッセージ

吉治 仁志(教授)

当科は附属病院において、年間40,000人の外来患者を診療し、1,300人以上の新しい入院患者を奈良県はもとより他府県からも多数受け入れています。奈良県における中核病院としての役割を果たすとともに、地域医療にできるだけ貢献することを目標としています。急性期消化器疾患に対しても全例受け入れることを基本的方針としており、多くの大学病院と異なり、ほぼ毎日緊急内視鏡検査をはじめとした救急患者の診察を行っています。一般診療において消化器疾患の占める割合は非常に多く、消化器に関する技術は内視鏡や超音波など多くの一般病院で必要とされているものです。言い換えれば、それぞれが高い専門性を有しているにも関わらず、ほとんどの病院で長い間にわたって習得した技術を生かせるという強みがあります。

当科は指導スタッフが充実し、また研究体制も整っており、ここでしか学べないこと、経験できないことが数多くあります。当科のスタッフは「人を育てることが何よりも大切である」という考えのもと、若いドクターを指導しています。一人ひとりが充実感を持って仕事ができるように、相手の立場を尊重しながら、one for all, all for one の気持ちで教室員は日々診療や研究に携わっています。共に成長していく意志を持ったできるだけ多くのドクターに加わって頂きたいと思います。

キャリアパス

原則、卒後3−8年目は大学病院と関連病院で研鑽を積んでいただきます。消化器内科医としてのみならず、一般内科医としての勤務も経験することで、内科医としての基本的な診療能力を養成すると同時に、内科専門医の取得に必要な経験症例を網羅できるようにします。これまでのところ、当科専攻医の大多数が最短で内科専門医を取得してくれています。また、日本消化器病学会や日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会などサブスペシャリティ領域の専門医取得に向けた専門研修も並行して進めることができます。

専門医取得後、希望者は大学院博士課程に進学し、医学博士取得を目指して基礎研究や臨床研究を行います。日々の臨床において、ガイドラインを調べても答えが得られない臨床疑問に突き当たる機会は無数にあります。このような臨床疑問に対しては、「自分の頭で考える」ことが極めて重要です。大学院で研究の基礎を学ぶことは、「自分の頭で考える」ために必要な科学的洞察力と論理的思考力を磨く良い経験となり、その後の医師生活において必ず財産となります。また、当科では原則、社会人大学院生となりますので、収入などの心配もありません。

大学院修了後は原則として各自の希望に応じてさらなるキャリアアップを目指します。大学病院や関連病院において診療活動の中心的役割を担いながら、後進の育成にあたることも可能ですし、研究活動をさらに深めたい場合には、National Institutes of Health (NIH)をはじめとした国内外機関への留学も可能です。これらは、あくまでも当科が推奨する標準的キャリアパスでありますので、個々の状況やライフプランに沿った柔軟な対応が可能です。

先輩医師からのメッセージ

岩井 聡始

消化器内科は、消化管・肝胆膵といった生命活動の根幹を担う臓器を幅広く扱う分野であり、非常に多様性に富んだ専門領域であるといえます。対象臓器が広いぶん学びの広がりも大きく、やりがいを感じられる仕事を見つけやすいのも大きな特徴です。病歴や理学所見などの基本的なアプローチに始まり、腹部超音波検査や消化管内視鏡検査といった技術を駆使して診断に迫る過程は、まさに内科という学問の本質であり醍醐味といえます。また、低侵襲治療の進歩も目覚ましく、現在、私が最も興味を持って取り組んでいる早期消化管がんの内視鏡治療は、自身の技術を駆使して患者さんのがんを取り除くことができ、日常診療の中で「命を救う瞬間」を実感することができます。これらの知識や技術は一朝一夕で身につくものではありませんが、経験豊富な指導医が丁寧に指導にあたりますので心配は無用です。一朝一夕に身につくものでないからこそ、長い医師人生において皆様の強力な武器となってくれることでしょう。幅広い知識と技術を身につけ、内科医としての総合力を磨きたい方にとって、消化器内科は最適なフィールドのひとつであると考えます。若く熱意にあふれた皆様と一緒に切磋琢磨し、ともに働けることを楽しみにしております。

一週間の業務例

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午前 外来業務 上部消化管内視鏡検査 腹部超音波検査 関連病院
(外来・健診など)
病棟業務 月に1回当直
午後 肝生検
RFA
ESD
ERCP
EVL/EIS
教授回診
下部消化管内視鏡検査
ERCP
PEG
入院症例検討会 胆膵症例検討会 肝生検・肝がん症検討会 消化管症例検討会
肝胆膵キャンサーボード 上部・下部消化管キャンサーボード 医局会
月に2回当直

専攻医1年目(卒後3年目)の1週間の勤務スケジュール例です。原則、大学病院で4日間、関連病院で1日勤務します。午前中は外来や病棟での診療業務のほかに、上部消化管内視鏡検査と腹部超音波検査の研修を行います。1年間でスクリーニング検査を単独で行えるようになることを最低限の目標とします。午後は、下部消化管内視鏡検査や肝生検・ラジオ波焼灼術、各種治療内視鏡の研修を行います。当科では研修医を含む全スタッフを3つの臨床グループに分けており、各グループで症例検討会を行っています。また、肝疾患、消化管疾患、胆膵疾患に対して侵襲的治療を行う症例を中心に症例検討会や、関連各科との合同検討会を行っています。特に近年のがん治療は選択肢が大幅に増えており、各治療の長所や短所を考慮して治療方針を組み立てていく上での基本的な考え方などを学ぶ良い機会となります。また、各領域のエキスパートを外部講師として招聘するセミナーを不定期に開催しており、常に知識のアップデートができる環境を提供しています。

GSコースの三年間

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
1年目 消化器・代謝内科 他内科 (初期研修での症例経験を踏まえて柔軟に対応)
プライマリ・ケア当直研修を土日ERで行う。(1回/2ヶ月)
JMECC受講(プログラム要件)
2年目 症例経験進捗状況や希望を踏まえるが、原則関連病院にて研修。場合により、大学病院にて研修
内科専門医取得のための病歴提出準備
3年目 関連病院での研修
初診+再診外来を週に1回担当

最初の1年間は大学病院での研修となります。新専門医制度に対応するため、他内科やERでの研修も行いますが、subspecialty専門医の早期取得も見据えた研修となります。症例経験進捗状況にもよりますが、2, 3年目は原則、関連病院での研修となり、外来診療も行います。GSコースの3年間で、上部消化管内視鏡検査、腹部超音波検査、腹水穿刺排液、超音波ガイド下経皮肝生検、イレウス管挿入術等の基本的な消化器関連手技について習得が可能です。ほかにも肝がんに対するラジオ波焼灼術(RFA)、消化管出血に対する内視鏡的止血術、早期消化管がんに対する内視鏡的切除術(EMR/ESD)、胆膵内視鏡関連手技(EUS/ERCP関連手技)、内視鏡的食道静脈瘤結紮術(EVL)、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)など、専門性の高い治療手技も多数経験することができます。

お問い合わせ

  • 奈良県立医科大学附属病院 消化器・代謝内科(消化器内科学)
  • TEL:0744-22-3051(代)

その他、詳細情報については特設HPへ

消化器・代謝内科(消化器内科学)特設ページ